橋の上で踊ろよ、踊ろよで有名なアヴィニョン、
14世紀から約一世紀、法王庁が有ったことでも有名です。
アヴィニョンの法王庁と橋は南仏観光のマストスポット。
そしてガイドだった私は、例の歌を必ず皆様にご披露していました。
乗りの良い女性グループの時には、
対岸の中州で歌いながら、ラインダンス。
可哀想な男性添乗員さんは、皆さんのカメラの撮影にあっち行って、こっち行って。
大声で歌って、踊った我々は、あっという間に旧知の友の様に打ち解けます。
さて、中世ヨーロッパで最大の宮殿と言われる法王庁、
まさに石の塊で、広場に立ってシャンポー門という
ロケットが2本並んでいる正面入り口を目にするだけで、
ウオ〜となります。
最初はローマから、チョット引っ越して来たという感じだったので、
法王庁としての体裁を急ピッチで整え、権威を内外に示しました。
資金はどうやら、当時十字軍で大変な収益を上げた
テンプル騎士団を弾圧し、その財産を法王庁の建築資金にした様です。

余談ですが、ポルトガルという小国が大航海に出て行けたのも
この資金のお陰だそうで、ヴァスコ・ダ・ガマはインド航路を発見。
フランシスコ・ザビエルは日本にキリスト教をもたらしました。
宮殿内は残念ながら、フランス革命期にかなりの改築、略奪の為
かつての素晴らしい装飾は殆ど残っていません。
それでも、法王のプライベート・スペースにその片鱗が見え
いにしえの豪華さを感じさせてくれます。

がらんどうの大広間に入った時、かつての祝宴の模様を想像してみて下さい。
まだフォークの無かった時代のこと、高貴な方々は手を使って食事をしていました。
口はテーブルクロスでぬぐっていたし、お隣とスープボールは共用だったとか?!
食材は大量に買い付けられていたようで、例えば、何百頭の羊、何千羽の若鳥を
仕入れた、などと言う台帳が現存しています。
ところで、冷蔵庫の無い当時、これらの肉は腐って悪臭を放っていたとか!!!
それで、肉の腐臭を消すために香辛料が大活躍をしました。
ベニスの商人は軽量コンパクト、だけど超高価で超人気商品の香辛料で
巨万の富を築いたと言われています。

ツアーの最後に角塔の上に上がる時もあります。
右手にはノートルダムドン大聖堂のマリア像今は美術館になっている小宮殿、
その向こうにはローヌ川にかかる例の橋。
本当はサン・ベネゼ橋と言い、元羊飼いベネゼの名前が付いてます。
左手は19世紀以降の新しい街並み。
劇場と市庁舎が有ります。
おっと、正面を忘れていました。
元造幣局、ボルゲーゼ家の紋章を配した建物の正面はルネサンス様式の典型です。

城壁に囲まれたこれらの旧市街は、中世の街並みを良く残していて
街歩きをしているとタイムスリップをした様です。
日本で言ったら、寺社街、京都に匹敵するでしょうか。
住人がセンスがあるせいか、美味しいレストラン、素敵なブティック、お洒落なカフェがそこかしこに。
もしも、アヴィニョンにお越しの際は、フリータイムに街歩きををお勧め致します。
きっと素晴らしい発見が有りますよ。
追記
私ごとで恐縮ですが、昨年末、永らくアヴィニョンのガイドをされていた
ミチさんが永眠されました。心よりご冥福をお祈りいたします。